モニタ

モニタ画面は2つの項目を常時測定します。入力された音声シグナルが改変されていないか(ビットパーフェクトか)、そして出力される音声が設計の予測範囲に収まっているかです。

入力の透過性

PCM音声は特定の量子化グリッド上に離散値として配置されています(例えば16bit音源なら1/(2^16)単位のステップ)。入力経路の途中で音量調整、イコライザ、サンプリングレート変換などが介在すると、サンプル値はこのグリッドから外れます。

表示意味
有効ビット深度サンプルの格子間隔から逆算した実効分解能。16はCD品質、24はハイレゾ相当
グリッド不一致率(Off-grid share)解析区間内で量子化グリッドに一致しなかったサンプルの割合
入力ピーク / RMS入力シグナルのピークレベルおよび実効値(RMS)[dBFS]
解析ウィンドウ数 / 警告数完了した解析ウィンドウの総数と、グリッドのズレが検出されたウィンドウ数
判定意味
判定待機中(Waiting)判定に必要なサンプル数が蓄積されていません。判定結果は保留されます
完全一致(On grid)該当ビット深度のオリジナルデータが未加工(ビットパーフェクト)のまま届いています
改変検出(Off grid)サンプル値が量子化グリッドから外れています。OSや他アプリによる音量調整、EQ、サンプリングレート変換などが介在している可能性があります
判定不能(Inconclusive)無音状態、または判定に十分なデータが得られていません
  • 「改変検出」は疑い(警告)であり、必ずしも音質劣化を断定するものではありません。

    MP3やAACなどの非可逆圧縮音源は、デコーダが出力した時点で浮動小数点データとなるため、最初から量子化グリッドに乗りません。ビットパーフェクト伝送を厳密に検証したい場合は、量子化深度が明確な非圧縮・可逆圧縮音源(WAVやFLAC)を再生してください。

  • 無音状態を「透過(ビットパーフェクト)」として判定することはありません。

    有効な解析ウィンドウが1つも完了していない間は、判定表示自体を行いません。何も届いていないシグナル経路が、完全な音声が届いている経路と誤認されるのを防ぐためです。

  • 状況が改善しても警告カウンタはリセットされません。

    直近の解析ウィンドウでグリッド一致に戻った場合でも、過去に検出された警告数はカウンタに保持され続けます。再生セッション中に「一度でも改変が発生したかどうか」を確実に追跡するためです。

帯域外ノイズ

  • 適用中のリサンプル設計における阻止帯域(ストップバンド)を監視し、実測された高周波ノイズと設計上の予測値を比較します。
  • 予測値を超えると黄色で警告表示されます。さらに赤色で警告されるのは、Sonir Bench自身の標準DSD出力が生成する高周波ノイズレベルを超過した場合のみであり、このレベルに達したときは機器保護のための対処が推奨されます。
  • 倍音付加やサチュレーションノードは、リサンプルフィルタの予測を超える高域成分を生成することがあります。赤色の警告閾値を下回っていれば、下流のアンプやスピーカーに悪影響を及ぼす心配はありません。
  • 出力レートが入力レートと同じ場合、元のナイキスト周波数より上の帯域自体が存在しないため、帯域外監視は対象外(N/A)となります。
  • DSD出力時はPCMではなく1bitビットストリームとなるため、この帯域外監視およびPCM用出力レベルメーターは機能しません。

スペクトラム・スコープ・カウンタ

スペクトラム表示入力と出力の周波数スペクトラムを重ねて描画。シグナルチェーンが素通しであれば2本のカーブは完全に一致します
周波数分解能20 Hz〜20 kHzの可聴帯域を256分割の対数バンドで解析。音声ストリーム通過時にリアルタイムで振幅スペクトラムを算出します
チャンネル合成L/R各チャンネルのパワー(電力二乗平均)で合成。単に波形を加算すると逆相成分が打ち消し合って表示から消失してしまうためです
オシロスコープ入出力シグナルの時間軸波形。大まかな波形形状や位相関係の目視確認用です
各種カウンタバッファのアンダーラン、オーバーラン、パケットドロップ等のエラー発生回数

モニタ画面を表示していない間、スペクトラム解析のCPU負荷はゼロです(描画を隠すだけでなく解析エンジン自体を停止します)。また、位相情報は保持せず周波数バンドも集約されているため、この表示データから元の音声波形を復元することは不可能です。