再生設定
この画面では、オーディオデバイスの選択、DACへの出力形式・レートの指定、適用する設計データの割り当てを設定します。
入力と出力
入力サンプリングレートによってレート系列が決まり、系列から内部処理レートが一意に定まります。44.1 kHzおよびその倍数は705.6 kHz、48 kHzおよびその倍数は768 kHzとなります。現在動作しているレートは画面上に常時表示されます。
出力レート
DACが非対応のサンプリングレートを選択すると、再生開始時にエラーとなります。対応レートはDACの仕様書またはmacOSの「Audio MIDI設定」でご確認ください。
出力レートを引き上げると、超音波帯域(可聴域外)の信号がDACへ送出されます。
元のナイキスト周波数を超越する高周波成分が、音源由来のものもグラフの非線形処理で生成されたものも、そのまま下流機器へ届きます。DACやアナログアンプによっては相互変調歪みの原因となるため、モニタ画面で該当帯域を常時監視し、設計通りの減衰量に収まっているかを可視化します。
出力レートを入力と同じレートに戻しても利点は失われません。
内部高レート処理の本質的なメリットは、非線形ノードの実行中に高調波の折り返し歪み(エイリアシング)を発生させない点にあります。この恩恵は内部グラフを通過した時点で完全に確保されており、最終段で元のレートへダウンサンプリングしても損なわれることはありません。
PCMとDSD
- ΔΣ変調器の発散を防ぎ安定動作を維持するため、固定のアッテネーション(減衰)が適用されます。減衰量は選択肢の横に表示され、入力音声の振幅ではなくモジュレータの設計仕様によって一意に決定されます。
- 変換をオフにすると、48 kHz系の音源は48 kHz系(48k / 96k基準)のDSDビットストリームとしてそのまま出力されます。この変則レートに対応していないDACでは強烈な高周波ノイズの原因となるため、DACが確実にサポートしていると分かっている場合を除き、常に有効のままにしてください。
- 用意されているすべての次数設定は一般的なDACのアナログノイズフロアを大きく上回る性能を持つため、次数変更による聴感上の差異は極めてわずかです。基本的には初期推奨値のまま運用してください。
パーティション長と計算精度
ブロック長を伸ばすと長大なフィルタのCPU負荷を削減できます。
タップ数の多いフィルタは、より大きなパーティションで畳み込むことでレイテンシと引き換えにCPU使用率を大幅に下げられます。逆にタップ数が短いフィルタでは、ブロックを大きくしても負荷が下がらない(むしろ微増する)場合があります。現在の環境での具体的な消費リソースは、各設計の検証レポートで確認できます。
f32の採用目的は演算精度ではなくタップ数の拡張です。
同一のCPU消費量で約2倍のタップ数を計算できるため、急峻な遮断特性のフィルタを実装できます。単精度の丸め誤差フロアは約-141 dBFSであり、これは24bit出力時のディザノイズフロアと同等です。そのため、24bit DACへ出力している限り実効的な音質差として現れることはありません。
計算精度は再生中に動的変更できません。
精度設定を変更する場合は、一度再生を停止してください。A/B比較の2スロットは常に同一の計算精度で実行されるため、比較検証時に計算精度の違いが混入することはありません。
適用する設計
- リサンプル設計は、入力レートから内部処理レートへシグナルを変換するフィルタ特性を定義します。未指定の場合は、出荷時プリセット(直線位相カイザー窓ローパスフィルタ)が適用されます。
- 適用対象のサンプリングレートに現在の入力レートが含まれていない設計はロードされません。その場合は出荷時プリセットで代行され、UI上に警告が表示されます。設計データに対応レートを追加するか、全レート対応の記述を行ってください。
- グラフ設計は、内部レート上で実行するシグナルプロセッシングを定義します。未指定の場合はバイパス(素通し)となり、これはA/B比較における音量マッチングの基準(0 dB)にもなります。
- リサンプル設計およびグラフ設計は、再生中であっても音途切れなくシームレスに差し替え可能です。
- 非線形ノードを含むグラフを一度でもロードすると、スピーカーや耳を保護するため、そのセッション中は常に出力段のリミッターが作動待機(アーム)状態になります。該当するグラフには、ロード前に画面上で警告バッジが表示されます。